成年後見人等の報酬

 日本の成年後見制度が不評な理由のひとつに 後見報酬の高さがあります
家庭裁判所によってはホームページに「成年後見人等の報酬額のめやす」と掲載されています
それによると 報酬は 基本報酬と付加報酬の2種類があります
【基本報酬】
 ・通常の後見事務を行った場合 月額2万円
 ・ただし 管理財産額が高額な場合 財産管理事務が複雑な場合は下記の額
   管理財産額1000万円超5000万円以下・・・月額3万円~4万円
   管理財産額5000万円超      ・・・月額5万円~6万円
   保佐人 補助人も同様
【付加報酬】
 ・後見事務のうち身上監護等(今は身上保護と言います)に特別困難な事情があった場合は基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を付加する
 ・報酬付与申立事情説明書に記載の特別の行為をした場合 相当額の報酬を付加することがある

 後見人報酬は年1回の後見事務報告書の提出時に報酬付与申立をすることで 家庭裁判所が金額を判決して付与します つまり年額24万円~72万円 これが毎年 ご本人の財産から支払われます 支払われると言っても 財産管理をしているのは後見人等ですから 取りはぐれはありません 後見が始まると基本的に生涯にわたり止めることができません 10年間生存されると報酬総額は240万円以上 お若い障がい者さまの場合 40年~50年も続くことになり 報酬総額が1000万円を超えることもあります また付加報酬(ボーナス)の決め方も基準が曖昧だと感じます
 また 成年後見人等が複数 選任されている場合は 報酬を人数で適宜分けることとしています

 また 後見監督人が選任された場合 上記の基本報酬の半額としています これは保佐監督人 補助監督人 任意後見監督人も同様です さらに任意後見契約を専門職と交わす場合の報酬額は契約書に記載することになりますが ほぼ家庭裁判所が掲載している報酬額の目安に準じた金額以上に設定されているようです

 後見を使い ご家族ではない専門職(弁護士 司法書士 社会福祉士 ほか)が選任されると 報酬付与の申立がなされ 報酬は全額 ご本人の財産から支弁されます 後見事務はそれほどの価値があるのでしょうか それだけの価値があるなら ある程度は納得するかもしれませんが 年1回の収支明細 財産目録が主で 身上保護については「この1年間 やや認知症が進んだ感はあるが 特に大きな体調変化なく過ごされています」という簡単な報告書を添えて提出するのみなら ご家族等でも難しいものではありません そうなると「報酬が高い」「後見事務の内容に大差がないのに財産があるというだけで報酬が高額になるのは納得できない」「報酬でこんなに本人の財産が減らされるなんて不当」と考えられるご本人やご家族がおられるのも無理からぬことです 現在 法改正の動きがあり 後見事務に見合った報酬の在り方についても上がってきていますが どこまで国民が納得できる改正ができるのでしょうか 注視したいと思います

 なお 余談ではありますが 親族が後見人等に選任された場合でも 報酬付与申立はできますので念のため