お片付けの効果
「断捨離」という言葉が一般的なものとなっています 不用品を処分して掃除して生活の場が綺麗になると なんだか嬉しくなりますね
支援の現場で 生活が破綻しているような方のご自宅に伺うと 家の中が片付いておらず 物が一杯で放置されているのを見かけることが多いです 自分の生活について考えることを止めてしまっていることから 私は「時間が止まった家」と呼んでいます 必要なもの・不要なものが混ざって家中に散乱し 使いたいものが見つからないから また買ってくるという悪循環で更に物が増えていることが多いです また 料理をするにも台所が物で溢れていて料理をすることを諦めてしまい 総菜や弁当を買ってきて済ませる という場合も多いです 結局 家の中に物が溢れて不経済 そこで生活している人も肥満傾向や栄養失調傾向にあるなど 人の健康にも悪影響が生じてしまいます
認知症や障がいがあり 自宅での生活が限界だと支援者が思う方の家がこのような状況の場合 「もう施設に入所した方が良いですよ」などと勧めても 聞いてもらえないことが大半で 説得を繰り返しても堂々巡りとなってしまいます 「片づけましょう」と言っても「ここでこのまま暮らすから放っておいて 何も捨てないで」と拒否もされてしまうことでしょう
お片づけには ご本人の動機付けが欠かせません 万が一 支援者やご家族が強制的に片づけたとしても ご本人が納得していなければ 1週間もせず元の木阿弥になってしまいます
このような状況を打開するには 1か所だけプチ断捨離することから始めてみるのが良いと思います リビングだけ・台所だけ・押し入れ1か所だけ・・・そうして片づけた場所が明るくなり 使いやすくなることで ご本人の気持ちが動けば もう断捨離ができたも同然 ということは多いのです 誰も好き好んで汚部屋で暮らしたくはないからです
少し断捨離して生活空間が快適になると 住んでいる人の気持ちが動くことが多く 止めていた料理を始めて健康になったり 買うもの買わないでよいものが分かって浪費も減ります それは「自分のことを自分で決めている」という能力が復活して自身の生活に前向きになることに他なりません そうして「止まっていた時間が動き出す」これで終活が進むことが期待できます