成年後見制度の変更

 成年後見制度は民法に規定された制度です 制度には法定後見制度と任意後見制度があります

 今年1月 法務省法制審議会より「成年後見制度の見直しについて」という資料が出されました
 諮問では 「高齢化の進展など、成年後見制度をめぐる諸事情に鑑み、成年後見制度を利用する本人の尊厳にふさわしい生活の継続やその権利利益をより一層図る観点から、成年後見制度の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい」と前置きされています
 ネットの情報では 「成年後見制度の改正」という記事が散見されますが あくまでも「見直し」であり「改正」となるかは 今後の審議にかかっています

 今回の検討テーマとして
 ① 従来 法定後見制度を利用し始めたら 本人の判断能力が回復しない限り制度の利用を止められなかった を 終了する仕組みを検討する
 ② 成年後見人に付与されている取消権・代理権により本人の意思決定が阻害されているが 本人の同意を尊重する仕組み作りを検討する
 ③ 成年後見人等の交代ができない を 本人の状況に合わせて交代できる仕組み作りを検討する
 ④ 任意後見契約を発効する任意後見監督人選任申立が適切な時期になされていない を 適切な申し立てを義務付ける仕組みや申立権者の範囲の検討
 その他として 法定後見制度における類型の見直し や 報酬の在り方 が挙げられています

 今後の審議会でどのような議論がなされるか 関係団体がどのような働きかけを行うかは注視する必要があります
 この制度は あくまでも 障がい者や認知症になった方の自己責任論に基いています なぜなら 制度の利用の費用はご本人の財産から捻出することが基本になっているからです また 制度の本筋である「本人の尊厳にふさわしい生活の継続やその権利利益を図る」がこの度の審議で蔑ろにされないか 約3年程度かかるであろう審議を見ていきたいと思います

 ただし 本来は生涯にわたり このような制度を利用しない方が良いに決まっています その活動が「終活」であるとの私の思いは変わっていません