銀行口座の凍結

「認知症高齢者の銀行口座は凍結される」という話を聞かれて相談に来られる方がおられます 

 銀行は口座名義人との取引を行います 当たり前ですが「本人が銀行の窓口に来られないから 家族である私が代わりに手続きに来た」と言うだけでは代理人でも何でもありません そんなことを認めていたら詐欺グループのやりたい放題ですからね 銀行は預金者の財産を保護する義務があるわけです
 「本人は高齢で最近 認知症になってしまったから何とか本人の定期預金口座の解約をしてもらいたい そうしないと施設に入所するお金が工面できないんだ」とご家族が銀行に申し出たことで「それなら成年後見人を付けていただくまで口座は凍結させていただきます」と言われ ご家族は真っ青になってしまわれるようです

 銀行口座の凍結には 2パターンあります
① 口座名義人が亡くなられた場合で この場合は口座への入出金・口座からの引き落としや振り替え・解約など全ての取引が凍結されてしまいます
② ご本人の判断能力が低下したため 銀行での手続きをご本人が行えなくなった場合で この場合は口座からの出金手続きが凍結されます それによって預金を保護するのです ご本人が生きておられるので年金や給与の入金や振り込み・公共料金や施設利用料などの引き落としは継続されます この場合はご本人の代理人を設定することで口座凍結(預金の引き出し)は解除されます
 上記②でご本人の代理人として求められるのは 法定後見人・任意後見人・ご本人の要望により予め銀行に登録しておいた指定代理人です 「家族だから」というだけで代理人にはなれないのです 予め決めておく代理人としては指定代理人・任意後見人 ご本人の意思能力が確認できなくなってしまった場合には法定後見人となってしまいます 家庭裁判所の統計でも法定後見を申立てる理由で最も多いのが「預貯金の解約等」となっているのです