行政による死後事務委任
孤独死・無縁社会というキーワードに象徴される単身高齢者の増加 「私が死んだら 後のことを誰がやってくれるだろう」と心配になり 死後事務委任契約をする人もおられます そうした契約は弁護士や司法書士・行政書士などの士業者や葬儀会社などと契約するのが一般的で 高額な費用を預託するのが慣例でした
今まで行政機関は 葬儀が宗教的な意味合いがあったり 葬儀や埋葬は個人の責任で行うものとの認識で介入しないようにしてきました しかし 引き取り手のないご遺体を放置することはできず とりあえず行政が費用を仮負担して火葬を行い 親族を探して遺骨の引き取りと費用の回収を促すという手順を踏まなければなりませんでした 過去には「行き倒れ」で身元も判明しない方がそうしたお世話になっていたのですが 現代では親族の存在が確認できる人も 親族に連絡して引き取りをお願いしても「なしのつぶて」になるケースが増えてきました「引き取り手のない遺骨」は役所のロッカーや無縁墓への仮安置をするしかない状況です
こうした現状を何とかしようと行動したのが 神奈川県横須賀市
平成27年にエンディングサポート事業プロジェクトが始まり 令和元年度までに 相談総数432件 登録件数48件 うち1/4程度の死後事務が執行されているようです
事業の登録ができるのは 低所得低資産(生活保護受給者を含む)で独居の高齢者や障がい者 状況によっては弾力的な対応も行っている システムの概要は まず 市内の葬儀社のうち本事業に賛同して協力する事業者をしに登録 利用者は協力事業者から契約する葬儀社を選び 契約書(公正証書ではない 市が写しを保管)を交わして費用を預託する 葬儀形態も仏式や直葬など費用や希望に沿う形となっている 協力事業者としては市との委託契約事業所であるというお墨付きを受けられるし 登録希望の市民は行政がバックアップしてくれているという安心感がある 協力事業者は委託元である市への報告義務があり 実際に葬儀を行った場合 契約内容に沿う形と費用で行われたかは市がモニタリングを行う 登録者に対し市は最低月1回は荷電し 4か月に1回は訪問確認することも実施要綱にはあります
この事業が開始され 徐々に登録者が増えて知名度があがってくるにつれ 病院等の医療機関から 独居の入院患者を受け入れた場合 まず この事業の登録があるかどうかの問い合わせが入るようになっている 私個人としては こうしたシステム作りを 地域包括ケアシステムとして取り入れる自治体が増えることを希望したく思います